給与明細はいつ捨てていい?保存期間と捨てる前の確認事項
会社から毎月受け取る、給与の内訳が書かれた明細書。
- 保存義務 本人にはなし
- 再発行 手続きが要る
- 個人情報 高
会社員が受け取った給与明細に、本人の法定保存義務はありません。 ただし未払い賃金を請求できる期間(当分の間3年)は手元に置くのが安全です。
- 法的な保存義務
- 給与を支払った会社(受け取った本人ではありません)にあります
- おすすめ
- 3年
- 再発行
- 手続きをすれば再発行できる
あなたの場合を判定
条件別の結論
給与明細は、状況によって答えが変わります。 考えられる場合をすべて挙げます。 上の判定で答えると、当てはまるものが強調されます。
-
ある・気になることがあるまだ保管してください
問題が解決するまで、捨てずに保管してください
保管の目安:問題が解決するまで未払い賃金や社会保険の記録を争うとき、勤務時間と控除額が month 単位で分かる資料は
給与明細しかありません。源泉徴収票には年間の合計しか載らないため、代わりになりません。
会社が保存している賃金台帳は開示を求めれば見られる可能性がありますが、
もめている相手に資料を頼る形になります。
手元の明細は、解決するまで処分しないでください。 -
3年たっていない 取り直せない・分からない条件を満たせば捨ててOK
受け取ってから3年たつまでは保管してください
保管の目安:その給与の支払日から3年賃金の未払いを請求できる期間が、当分の間3年とされています。
いま取り直せない以上、この期間内に捨ててしまうと、
あとから必要になったときに手段がなくなります。
期間が過ぎたら、もう一度この画面で判定してください。 -
3年たっていない 取り直せるデータ化してから捨ててOK
データを残せば、紙は処分できます
保管の目安:データを確保するまで3年たっていませんが、必要になれば取り直せる状態です。
ただし「取り直せる」は今の話であって、
退職するとその日にログインできなくなる仕組みが多くあります。
紙を捨てる前に、PDFでまとめて保存してください。
保存できたら紙は処分してかまいません。 -
3年以上たっている ある今すぐ捨ててOK
処分してかまいません
保管の目安:なし受け取った本人に法律上の保存義務はありません。
賃金を請求できる期間も過ぎており、その年の収入と税額は源泉徴収票で証明できます。
給与明細でなければ分からないのは月ごとの勤務時間と控除の内訳ですが、
気になることが無いのであれば、それを使う場面はまず訪れません。 -
3年以上たっている ない・分からない 取り直せるデータ化してから捨ててOK
収入を証明できる資料を確保してから処分してください
保管の目安:源泉徴収票かデータを確保するまで賃金を請求できる期間は過ぎていますが、源泉徴収票が手元にありません。
収入を証明する資料が1つも無い状態は避けたいところです。
いまは取り直せる状態なので、明細をPDFで保存するか、
勤務先に源泉徴収票の再発行を頼んでから処分してください。 -
3年以上たっている ない・分からない 取り直せない・分からない条件を満たせば捨ててOK
収入を証明できる資料を用意するまで、保管してください
保管の目安:源泉徴収票を用意するまで賃金を請求できる期間は過ぎていますが、
源泉徴収票が無く、明細を取り直すこともできない状態です。
いま捨てると、その年の収入を示すものが手元から完全に消えます。
保育料の算定、ローンの審査、公的な手続きなどで収入を聞かれることがあります。
源泉徴収票の再発行を勤務先に依頼し、届いてから処分してください。
保存期間
法律で必要な保存と実用上おすすめする保存は、 性質がまったく違います。混ぜずに分けて示します。
- いつから
- 賃金台帳に最後の記入をした日(賃金の支払期日がそれより遅い場合はその支払期日)
- あてはまる場合
- 会社が作成する「賃金台帳」についての義務です。あなたが受け取った給与明細そのものではありません。
- 補足
本則は5年ですが、附則143条により当分の間3年と読み替えます。
「当分の間」なので、将来5年に戻る可能性があります。
根拠:労働基準法 第109条 (e-Gov法令検索(デジタル庁)) / 最終確認 2026-08-21
- いつから
- その給与の支払日
- あてはまる場合
- 未払い残業代など、賃金の未払いを請求する可能性を考える場合。
- 補足
賃金請求権の消滅時効に合わせた期間です。法律上の保存義務ではありません。
退職手当については5年です。
根拠:労働基準法 第115条 (e-Gov法令検索(デジタル庁)) / 最終確認 2026-08-21
- いつから
- その年分の申告期限(原則として翌年3月15日)
- あてはまる場合
- 医療費控除や住宅ローン控除などで確定申告をした年の明細。
- 補足
申告内容を後から直せる期間(更正の請求)が5年あるためです。
ただし申告そのものに使うのは源泉徴収票なので、
源泉徴収票が手元にあれば明細まで残す必要は通常ありません。
根拠:国税通則法 第23条 (e-Gov法令検索(デジタル庁)) / 最終確認 2026-08-21
- いつから
- その給与の支払日
- あてはまる場合
- 社会保険料の控除額が正しいか確かめたい場合。
- 補足
保険料の徴収・還付を受ける権利が2年で時効になることに合わせた目安です。
各月の年金記録は「ねんきんネット」で照会できるため、
この目的だけのために明細を持ち続ける必要は薄くなっています。
根拠:厚生年金保険法 第92条 (e-Gov法令検索(デジタル庁)) / 最終確認 2026-08-21
- いつから
- 本人が不要と判断したとき
- あてはまる場合
- 収入の推移を記録として残しておきたい場合。
- 補足
法律にも実務にも関係のない、本人の好みの領域です。
原本とデータ
金融情報・契約情報
給与明細は、税務署や年金事務所に原本を提出する場面が基本的にありません。
内容が読み取れれば、PDFや写真でも実用上は足ります。
ただし読めない写真は意味がありません。支給額・控除額・勤務時間の各欄が
はっきり判読できることを必ず確かめてください。
未払い残業代の話になったとき、争点になるのは勤務時間の欄です。
捨てる前チェック
すべて確認できたら、処分して大丈夫です。 チェックの状態はこの端末にだけ残ります。サーバーには送っていません。
安全な捨て方
シュレッダーにかける
給与明細には氏名・所属・給与額・口座番号が載り、
書式によってはマイナンバーの一部や扶養家族の情報まで含まれます。
そのまま可燃ごみに出さないでください。
クロスカット(細断が縦横に入るもの)であれば、家庭用のもので十分です。
ストレートカット(縦方向にだけ切れるもの)は、
並べ直すと読めてしまうことがあります。
枚数が多いときは溶解処理を使う
退職や引っ越しでまとめて処分する場合、家庭用シュレッダーでは現実的に終わりません。
郵便や宅配で送ると、開封せずに溶かして処理し、証明書を出してくれる事業者があります。
箱ごと預けられるので、数年分をまとめて片づけるときに向いています。
送る前に、中身が給与明細だけであることを確かめてください。通帳やカードが紛れていると取り返せません。
手で破って捨てる 勧めません
数枚だけなら、氏名・金額・口座番号の欄をまたぐように破れば実用上は足ります。
ただし1回の袋にまとめて入れると、復元される余地が残ります。
別々の日、別々の袋に分けて出してください。
枚数が多いときや、口座番号が載っている書式のときは、この方法では不十分です。
電子明細のデータを消す
PDFで保存していた明細を消すときは、
ごみ箱を空にするだけでなく、クラウドの同期先も確認してください。
端末から消しても、クラウド側の「ごみ箱」に一定期間残る仕組みが一般的です。
捨てたあと再発行できるか
勤務先に再発行を依頼する形になりますが、会社に再発行の義務はありません。
所得税法231条が定めているのは「支払うときに交付する」義務であって、
あとから作り直す義務ではないためです。
電子明細を使っている場合は、勤務先のシステムから過去分をダウンロードできることがあります。
ただし在職者しか使えない仕組みが多く、退職するとその日に見られなくなる例が珍しくありません。
退職前にまとめて保存しておくのが確実です。
なお所得税法231条2項の但書により、電子明細で受け取っている人でも
書面での交付を請求できます。ただしこれは「これから支払う分」の話で、
過去分をさかのぼって請求できるという意味ではありません。
よくある質問
給与明細は法律で何年保存しないといけませんか?
受け取った本人に、法律上の保存義務はありません。
労働基準法109条が5年(附則143条により当分の間3年)の保存を義務づけているのは、
会社が作成する「賃金台帳」についてであって、
あなたが受け取った給与明細ではありません。義務を負うのは使用者、つまり会社です。
「給与明細は3年保存」と書いている解説は、この会社の義務を
本人の義務のように書き換えてしまっているものが多くあります。
では実際には何年くらい取っておけばよいですか?
気になることが無いなら、3年を目安にしてください。
賃金の未払いを請求できる期間が、当分の間3年とされているためです(労働基準法115条・附則143条)。
ただし次の場合は長めに残してください。
- 退職手当に関するもの … 5年(退職手当の請求権は5年のままです)
- その年に確定申告をした … 5年(申告内容を直せる期間が5年あります)
源泉徴収票があれば、給与明細は捨てていいですか?
多くの場合は問題ありません。その年の収入と納めた税額は源泉徴収票で証明できます。
ただし源泉徴収票に載るのは年間の合計だけです。
月ごとの勤務時間、残業時間、社会保険料の内訳は給与明細にしかありません。
未払い残業代を争うときに必要になるのはこちらなので、
心当たりがある場合は源泉徴収票があっても残してください。
電子明細なので紙がありません。何かしておくことはありますか?
退職する前に、過去分をまとめてPDFで保存してください。
勤務先の明細システムは在職者しか使えない仕組みが多く、
退職日にログインできなくなる例が珍しくありません。
なお所得税法231条2項の但書により、電子明細で受け取っている人でも
書面での交付を請求できます。ただしこれは「これから支払われる分」の話で、
過去分にさかのぼって請求できるわけではありません。
写真を撮れば紙は捨てていいですか?
給与明細については、内容が読み取れれば実用上は足ります。
税務署や年金事務所に原本を出す場面が基本的にないためです。
ただし読めない写真では意味がありません。
支給額・控除額・勤務時間の各欄がはっきり判読できることを確かめてください。
斜めから撮って端が切れている、影で数字がつぶれている、という状態はよくあります。
年金の記録を確かめるために取っておくべきですか?
その目的だけなら、必ずしも必要ありません。
各月の厚生年金の記録(標準報酬月額など)は「ねんきんネット」で自分で照会できます。
給与明細が役に立つのは、その公的な記録と手元の控除額が食い違っていたときに、
こちらの言い分を裏づける材料としてです。
記録に不審な点がある場合は、突き合わせが終わるまで残してください。
会社に給与明細の再発行を頼めますか?
頼むことはできますが、会社に再発行の義務はありません。
所得税法231条が定めているのは「支払うときに交付する」義務であって、
あとから作り直す義務ではないためです。
応じてもらえるかは会社次第です。捨てる前に「取り直せるか」を
確かめておくほうが確実です。
根拠と最終確認日
このページの判断に使った資料です。 その根拠が、今回の判定にどう関係しているかまで書いています。
更新履歴
| 日付 | 種別 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026-08-21 | 内容を更新 | 初版。労働基準法109条・115条・附則143条、労働基準法施行規則56条、所得税法231条、厚生年金保険法92条、国税通則法23条を一次資料で確認して作成。 |
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