雇用契約書・労働条件通知書はいつ捨てていい?退職後の扱いと保存期間
働き始めるときに取り交わす、賃金や労働時間などの条件を書いた書類。
- 保存義務 本人にはなし
- 再発行 難しい
- 個人情報 高
本人に法律上の保存義務はありません。義務があるのは会社側です。 ただし労働条件を争うときの唯一の証拠になるため、在職中は必ず手元に置いてください。
- 法的な保存義務
- 雇用していた会社(働いていた本人ではありません)にあります
- おすすめ
- 条件を満たすまで
- 再発行
- 再発行が難しい
あなたの場合を判定
条件別の結論
雇用契約書・労働条件通知書は、状況によって答えが変わります。 考えられる場合をすべて挙げます。 上の判定で答えると、当てはまるものが強調されます。
-
ある・気になることがあるまだ保管してください
問題が解決するまで、絶対に捨てないでください
保管の目安:問題が解決するまで労働条件を争うとき、「どういう条件で合意したか」を示せるのは、この書面だけです。
会社も控えを持っていますが、もめている相手に開示を求める形になります。とくに退職金の計算方法、みなし残業(固定残業代)の時間数、
就業場所や業務の変更の範囲は、あとから確かめる手段がほとんどありません。
解決するまで手元に置いてください。 -
在籍しているまだ保管してください
在籍しているあいだは、手元に置いてください
保管の目安:退職するまで契約が続いている書類です。契約中のものを捨てないでください。
明示された労働条件が事実と違う場合、労働者は即時に契約を解除できます
(労働基準法15条2項)。その主張をするときの材料がこの書面です。条件が変わったときに渡される新しい通知書も、古いものと一緒に残してください。
いつ何が変わったかが分かる形になっているほうが役に立ちます。 -
5年たっていない 退職した条件を満たせば捨ててOK
退職から5年たつまでは保管してください
保管の目安:退職した日から5年退職手当を請求できる期間が5年です(退職手当以外の賃金は当分の間3年)。
退職金の計算方法は、雇用契約書や就業規則にしか書かれていないことが多く、
あとから「計算が合わない」と気づいたときに、根拠を示せなくなります。会社側の保存義務も退職日から当分の間3年なので、
4年目・5年目は会社にも残っていない可能性があります。 -
5年以上たっている 署名・押印して取り交わした 退職したデータ化してから捨ててOK
内容を確認して、データを残してから処分してください
保管の目安:データを確保するまで退職から5年が過ぎ、気になることも無いのであれば、紙を持ち続ける必要は薄くなっています。
ただし処分の前に、退職後も効き続ける約束が書かれていないかだけ見てください。
秘密保持や競業避止(同業他社への転職を制限する条項)は、
退職後の一定期間について定められていることがあります。期間が明記されていて、それも過ぎているなら、写真を1枚撮って処分してかまいません。
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5年以上たっている 渡されただけ 退職した今すぐ捨ててOK
処分してかまいません
保管の目安:なし本人に法律上の保存義務はありません。
退職から5年が過ぎ、退職手当を請求できる期間も終わっています。署名して取り交わした契約書ではなく、会社から渡された通知書であれば、
退職後も効き続ける約束が書かれていることは通常ありません。氏名・住所・給与額が載っているので、読めない状態にしてから捨ててください。
保存期間
法律で必要な保存と実用上おすすめする保存は、 性質がまったく違います。混ぜずに分けて示します。
- いつから
- 労働者の退職または死亡の日
- あてはまる場合
- 会社が保存する「雇入れ・退職に関する書類」についての義務です。あなたが受け取った控えではありません。
- 補足
本則は5年ですが、附則143条により当分の間3年と読み替えます。
起算日は労働基準法施行規則56条3号によります。
根拠:労働基準法 第109条 (e-Gov法令検索(デジタル庁)) / 最終確認 2026-08-21
- いつから
- 退職するまで
- あてはまる場合
- 在職中はずっと。契約が続いているあいだの条件を示す唯一の書面です。
- 補足
明示された労働条件が事実と違う場合、労働者は即時に契約を解除できます(労働基準法15条2項)。
その主張をするときの材料になるのが、この書面です。
根拠:労働基準法 第15条 (e-Gov法令検索(デジタル庁)) / 最終確認 2026-08-21
- いつから
- 退職した日
- あてはまる場合
- 退職金の計算や、未払い賃金の請求を考える可能性がある場合。
- 補足
退職手当の請求権の時効が5年であることに合わせています。
退職手当以外の賃金は当分の間3年ですが、
退職金の計算根拠は雇用契約書にしか書かれていないことが多いため、
長いほうの5年に寄せています。
根拠:労働基準法 第115条 (e-Gov法令検索(デジタル庁)) / 最終確認 2026-08-21
原本とデータ
金融情報・契約情報
署名や押印をして取り交わした雇用契約書は、原本の価値があります。
「この条件で合意した」ことを示す書面だからです。
一方、会社から一方的に渡される労働条件通知書は、内容が読み取れれば
データでも実用上は足ります。 合意の証拠ではなく、通知だからです。
どちらの場合も、賃金・労働時間・退職に関する事項・
就業の場所と業務の変更の範囲の欄が判読できるようにしてください。
捨てる前チェック
すべて確認できたら、処分して大丈夫です。 チェックの状態はこの端末にだけ残ります。サーバーには送っていません。
安全な捨て方
シュレッダーにかける
氏名・住所・給与額・勤務先が1枚にまとまっています。
年収がそのまま読み取れる書式が多いので、紙ごみにそのまま出さないでください。
給与額と氏名の欄を切り取って捨てる
枚数が少ないときは、金額と氏名の部分だけ切り取って別の日に出せば、
実用上は足ります。残りは普通の紙ごみでかまいません。
データで残す場合
写真やPDFで残すときは、賃金の欄と労働時間の欄が判読できることを確かめてください。
とくに固定残業代(みなし残業)の時間数と金額は、
あとから争点になりやすい箇所です。ここが読めない写真は意味がありません。
捨てたあと再発行できるか
会社に「控えをもう一度もらえないか」と頼むことになります。
法律上、会社に再交付の義務はありません。応じるかどうかは会社次第です。
会社側は、雇入れに関する重要な書類を退職または死亡の日から5年間
(当分の間3年間)保存する義務があります(労働基準法109条・附則143条、
労働基準法施行規則56条)。この期間内であれば、会社に控えが残っている可能性は高いといえます。
ただしもめている相手に「証拠を見せてほしい」と頼む形になる点は覚えておいてください。
労働条件を争う場面では、これが決定的に不利に働くことがあります。
期間を過ぎていれば、会社に残っている保証はありません。
退職するときに手元の1部を確保しておくのが、いちばん確実です。
雇用契約書・労働条件通知書を捨てたあとの困りごとと、代わりになるものをまとめています。
よくある質問
雇用契約書は何年保存しないといけませんか?
働いていた本人に、法律上の保存義務はありません。
労働基準法109条が5年(附則143条により当分の間3年)の保存を義務づけているのは、
会社に対してです。起算日は労働者の退職または死亡の日です
(労働基準法施行規則56条3号)。
本人側は、在職中はずっと、退職後は5年を目安にしてください。
退職したので、もう要らないのでは?
退職直後こそ必要になることがあります。
- 退職金の計算方法を確かめる
- 未払いの残業代を請求する(時効は当分の間3年)
- 失業給付の手続きで労働条件を聞かれる
- 秘密保持や競業避止の約束を確認する
とくに退職金は、計算方法がこの書面か就業規則にしか書かれていないことが多く、
あとから「計算が合わない」と気づいても根拠を示せなくなります。
会社に頼めば再発行してもらえますか?
法律上、会社に再交付の義務はありません。 応じるかどうかは会社次第です。
会社側は退職日から5年(当分の間3年)保存する義務があるので、
その期間内なら控えが残っている可能性は高いといえます。
ただし労働条件でもめている場面では、相手に証拠の開示を頼む形になります。
退職するときに手元の1部を確保しておくのが確実です。
労働条件通知書と雇用契約書は違うものですか?
違います。
- 雇用契約書 … 双方が署名・押印して取り交わす契約。合意の証拠になります
- 労働条件通知書 … 会社が労働基準法15条の明示義務を果たすために渡す通知
実務では「労働条件通知書兼雇用契約書」として1枚になっていることが多いです。
署名や押印があるものは合意の証拠なので、原本を残すほうが安全です。
条件が変わるたびに新しい通知をもらいます。古いものは捨てていいですか?
在職中は、古いものも一緒に残してください。
「いつ、何が、どう変わったか」が分かる形になっているほうが、はるかに役に立ちます。
昇給や手当の変更をさかのぼって確かめたいとき、
最新の1枚だけでは経緯が追えません。
かさばるものではないので、退職まではまとめて1つのファイルに入れておいてください。
2024年に書式が変わったと聞きました。古いものは意味がありませんか?
意味はあります。その当時の条件を示す書面として有効です。
2024年4月から、明示すべき事項に
「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」などが加わりました
(労働基準法施行規則5条)。
それ以前の書面にこの記載が無いのは、当時の決まりに沿っていたからです。
古いから無効ということはありません。捨てる理由にもなりません。
根拠と最終確認日
このページの判断に使った資料です。 その根拠が、今回の判定にどう関係しているかまで書いています。
更新履歴
| 日付 | 種別 | 内容 |
|---|---|---|
| 2026-08-23 | 内容を更新 | 「捨ててしまった」ページを追加。労働基準法89条・106条(就業規則の作成義務と周知義務)を e-Gov の法令APIで確認し、代わりになるものとして加えた。 |
| 2026-08-21 | 内容を更新 | 初版。労働基準法15条・109条・115条・附則143条、労働基準法施行規則5条・56条を一次資料で確認して作成。 |
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