住宅・不動産

賃貸借契約書はいつ捨てていい?契約は期間が過ぎても続きます

部屋を借りるときに交わす契約書。敷金・原状回復・更新の条件が書かれている。

  • 保存義務 なし
  • 再発行 手続きが要る
  • 個人情報
まだ保管してください

契約が続いているあいだは捨てられません。期間が過ぎても法定更新で続きます。 退去後も、敷金の精算と原状回復の話が終わるまでは手元に置いてください。

法的な保存義務
ありません
おすすめ
条件を満たすまで
再発行
手続きをすれば再発行できる
最終確認 2026-08-22 根拠 e-Gov法令検索(デジタル庁) / 国土交通省(住宅局)
このページの内容
原状回復は「借りたときの状態に戻すこと」ではありません
借主が負担するもの

故意・過失、善管注意義務違反、通常の使用を超える使い方でできた損耗・毀損。

たばこのヤニ・掃除を怠った水回りのカビ
経過年数を考慮して負担割合は下がる
貸主が負担するもの

経年変化と通常損耗。その修繕費用は賃料に含まれている(ガイドライン)。

日焼けした畳・家具の設置跡
借りたときの状態に戻す義務ではない

民法621条は、原状回復義務から「通常の使用及び収益によって生じた損耗並びに経年変化」を条文の括弧書きで除いています。国土交通省のガイドラインも、経年変化と通常損耗の修繕費用は賃料に含まれるとしたうえで、「原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない」と明確化しています。

あなたの場合を判定

答えると、下の「条件別の結論」から当てはまるものが選ばれます。 分からない質問は飛ばしてかまいません。 答えが足りないときは、無理に結論を出しません。

その部屋には、まだ住んでいますか?

契約期間が過ぎていても、住み続けているなら「住んでいる」です。法定更新で契約は続いています。

原状回復の請求や修繕の負担で、納得できていない点はありますか?

見積りの金額、負担の範囲、経過年数の考え方など。「言われるままに払った」場合も、あとから疑問が出れば「ある」を選んでください。

敷金の精算は終わっていますか?

返金か請求のどちらかが済んで、内訳の書面を受け取り、内容に納得できたところが終わりです。

退去してから、5年以上たっていますか?

敷金の返還を請求できる期間の目安です(民法166条)。

条件別の結論

賃貸借契約書は、状況によって答えが変わります。 考えられる場合をすべて挙げます。 上の判定で答えると、当てはまるものが強調されます。

  1. まだ住んでいる
    まだ保管してください

    契約が続いています。捨てられません

    住んでいるあいだは、契約書が生きています。

    「2年契約が切れたから、あの契約書はもう関係ない」は正しくありません。
    借地借家法26条1項は、期間満了の1年前から6月前までに
    更新しない旨の通知がなければ、
    従前の契約と同一の条件で更新したものとみなすとしています。
    更新の書面を交わしていなくても、契約書は効き続けます。

    いま、3枚そろっているか確かめてください。

    1. 賃貸借契約書(37条書面)
    2. 重要事項説明書(35条書面)— 別の紙です
    3. 定期建物賃貸借の場合は、更新がない旨の事前説明の書面

    3がない定期借家は、更新がない旨の定めが無効になります
    (借地借家法38条5項)。つまり普通の賃貸借として更新されます。
    「定期借家だから出て行ってください」と言われたときに、これが効きます。

    あわせて、入居時に撮った部屋の写真も一緒にしておいてください。
    退去のときに効くのは、契約書よりむしろそちらです。

    保管の目安:退去して鍵を返すまで
  2. 退去した ある・あるかもしれない
    まだ保管してください

    納得できるまで、一式そろえて残してください

    原状回復は「借りたときの状態に戻すこと」ではありません。

    民法621条は、原状回復義務から
    通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」を
    条文の括弧書きで除いています。

    国土交通省のガイドラインも、経年変化と通常損耗の修繕費用は
    賃料に含まれるとしたうえで、こう明確化しています。

    原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない

    さらに、借主が負担する場合でも
    「建物や設備の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させる
    考え方を採っています。
    6年住んだ部屋のクロスを全額請求されているなら、そこが争点になります。

    まとめて残してください。

    • 賃貸借契約書・重要事項説明書
    • 入居時の写真とチェックシート
    • 退去時の立会いの記録・写真
    • 見積書・請求書・敷金の精算書

    話がつかないときは、お住まいの消費生活センターに相談してください。
    このサイトで金額の当否は判断しません。

    保管の目安:原状回復の話が終わるまで
  3. 退去した まだ・分からない ない
    まだ保管してください

    敷金の精算が終わるまで、手元に置いてください

    民法622条の2第1項1号は、敷金を返す義務が生じるのを
    賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」としています。
    鍵を返して明け渡した時点で、返還を請求できます。

    名目は問いません。 保証金・預り金でも、
    担保の目的で預けた金銭なら敷金として扱われます。

    精算書が届いたら、契約書の特約と突き合わせてください。
    とくに次の3つです。

    • 原状回復の負担の範囲(通常損耗を借主負担とする特約はあるか)
    • ハウスクリーニング代の定めはあるか、金額は妥当か
    • 敷引き・償却の定めはあるか

    内訳に納得できたら、そこが終わりです。

    保管の目安:敷金の精算が終わるまで
  4. たっていない 退去した 終わった / 敷金は無かった ない
    条件を満たせば捨ててOK

    5年を目安に、データで残しておいてください

    精算も済み、納得もできています。紙を残す必要はもうありません。

    ただし、5年は目安として残しておいてください。
    敷金の返還請求権も債権なので、
    民法166条1項により「行使できることを知った時から5年」で時効消滅します。

    あとから精算の誤りに気づくことがあります。
    そのとき手元に契約書と精算書があれば、話が早く済みます。

    写真かPDFで十分です。 撮るのは次の4点。

    • 契約書の特約事項の欄(ここに原状回復の定めが書かれます)
    • 敷金・礼金・更新料の金額が書かれた欄
    • 貸主・管理会社の名前と連絡先
    • 敷金の精算書

    紙は処分してかまいません。

    保管の目安:退去から5年
  5. 5年以上前 退去した 終わった / 敷金は無かった ない
    今すぐ捨ててOK

    処分してかまいません

    退去から5年以上たち、精算も済んでいます。

    • 借主に法律上の保存義務はありません。
    • 敷金の返還を請求できる期間(知った時から5年)も過ぎています。

    処分のしかたに気をつけてください。
    賃貸借契約書には、氏名・住所・生年月日・勤務先・年収・
    連帯保証人の氏名と住所と勤務先、緊急連絡先、口座番号まで載っています。

    自分だけでなく、他人の情報が載っている紙です。
    連帯保証人になってくれた家族の情報を、そのまま外に出さないでください。

    保管の目安:なし

保存期間

法律で必要な保存実用上おすすめする保存は、 性質がまったく違います。混ぜずに分けて示します。

任意(思い出・記録) 本人の好みの範囲
条件を満たすまで 記録として残したい人
いつから
本人が不要と判断したとき
あてはまる場合
次に借りるときの条件の比較、住所の履歴の確認など。
補足

法律にも手続きにも関係のない、本人の好みの領域です。写真で十分です。

次に部屋を借りるとき、前の契約の条件(更新料・原状回復の特約・
短期解約違約金)を見返すと、条件の良し悪しが分かります。

原本とデータ

原本の要否
原本の保管を推奨
再発行
手続きをすれば再発行できる
捨てるときの個人情報リスク

金融情報・契約情報

紛争になったときに出すのは原本です。写真では足りないことがあります。

ただし契約中は原本を、退去後はデータを、と考えて実用上足ります。
退去して精算まで済めば、あとは記録です。

契約書より効くものがあります。
国土交通省のガイドラインは、原状回復を
「『入口』すなわち入居時の問題と捉え、入退去時における損耗等の有無など
物件の状況をよく確認しておくこと」が有効だとしています。

入居時に部屋の写真を撮り、チェックシートに書いて渡しておく。
退去のときに効くのは、そちらです。
契約書と一緒に、その写真も残してください。

捨てる前チェック

すべて確認できたら、処分して大丈夫です。 チェックの状態はこの端末にだけ残ります。サーバーには送っていません。

処分の準備ができました

安全な捨て方

シュレッダーにかける

賃貸借契約書には、これだけ載っています。

氏名・住所・生年月日・勤務先・年収・電話番号・
連帯保証人の氏名と住所と勤務先・緊急連絡先・口座番号
前に住んでいた住所。

自分だけの紙ではありません。
連帯保証人になってくれた家族の情報が、同じ紙に載っています。

ページ数があるので、まとめて細断してください。

溶解処理に出す

契約書・重要事項説明書・精算書をまとめて処分するときに向いています。
郵便局や事務用品店が扱っています。箱ごと封をして出せます。

引っ越しのたびに1式たまるので、何回分かまとめて出すと楽です。

捨てたあと再発行できるか

貸主か管理会社に、写しをもらえないか頼んでください。

契約書は2通作り、貸主と借主が1通ずつ持つのが普通です。
相手方は持っているはずなので、写しを求めれば応じてもらえることが多いです。
ただし応じる義務があるわけではありません。

仲介した宅地建物取引業者が保管していることもあります。

重要事項説明書(35条書面)と契約書(37条書面)は別の紙です。
どちらもあるか確かめてください。

定期建物賃貸借の場合は、もう1枚あります。
「更新がなく期間の満了により終了する」ことを説明した事前の書面です
(借地借家法38条3項)。
この説明をしていなければ、更新がない旨の定めは無効になります(同条5項)。
つまり普通の賃貸借として更新されます。3枚まとめて確かめてください。

もう捨ててしまった方へ
賃貸借契約書を捨てたあとの困りごとと、代わりになるものをまとめています。

よくある質問

賃貸借契約書は何年保存すればいいですか?

借主に法律上の保存義務はありません。

実用上は「契約が終わり、敷金の精算が終わるまで」と考えてください。
期間ではなく用事で区切ります。

精算まで済んだあとは、5年を目安にデータで残しておけば足ります。
敷金の返還請求権も債権なので、
民法166条により「知った時から5年」で時効消滅するためです。

2年契約が切れました。もう関係ない書類ですか?

いいえ。契約は続いています。

借地借家法26条1項は、期間満了の1年前から6月前まで
更新しない旨の通知がなければ、
従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」としています。

更新の書面を交わしていなくても、契約書は効き続けます(法定更新)。
ただし法定更新されると「期間の定めがないもの」になります。

なお、貸主から更新を断るには、通知に加えて
正当の事由が要ります(同法28条)。

原状回復で、どこまで払う必要がありますか?

「借りたときの状態に戻す義務」ではありません。

民法621条は、原状回復義務から
「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」を
条文の括弧書きで除いています。

国土交通省のガイドラインは、こう整理しています。

- 借主が負担するのは「故意・過失、善管注意義務違反
その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」
- 経年変化・通常損耗の修繕費用は「賃料に含まれる
- 借主が負担する場合でも、経過年数を考慮して負担割合を減らす
- 補修は「可能な限り毀損部分に限定」する

日焼けした畳、家具を置いた跡、画びょうの穴。
これらは通常損耗として貸主の負担とされるのが一般的です。

ただしガイドラインは法律ではありません。
個別の判断は、消費生活センターや法律家に相談してください。

敷金はいつ返してもらえますか?

鍵を返して明け渡したときです。

民法622条の2第1項1号は、返還の義務が生じるのを
「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」としています。
契約が切れただけでは足りません。

返ってくるのは、預けた額から
「賃貸借に基づいて生じた借主の債務の額を控除した残額」です。
未払いの家賃や、借主が負担すべき原状回復費用が引かれます。

名目は問いません。 保証金・預り金でも、
担保の目的で預けた金銭なら敷金として扱われます。

契約書をなくしました

貸主か管理会社に、写しをもらえないか頼んでください。

契約書は2通作り、貸主と借主が1通ずつ持つのが普通です。
相手方は持っているはずですが、応じる義務があるわけではありません。

仲介した宅地建物取引業者が保管していることもあります。

3枚あるか確かめてください。
賃貸借契約書(37条書面)、重要事項説明書(35条書面)、
定期借家なら更新がない旨の事前説明の書面。

定期借家だと言われました。どう確かめますか?

書面が2枚あるかどうかで決まります。

借地借家法38条は、定期建物賃貸借について次を求めています。

1. 公正証書による等書面によって契約をすること(1項)
2. 賃貸人があらかじめ、更新がなく期間の満了により終了する旨を記載した
書面を交付して説明すること(3項)

そして5項が決定的です。

建物の賃貸人が第三項の規定による説明をしなかったときは、
契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。

つまり、事前説明の書面が無ければ普通の賃貸借として更新されます。

なお、床面積200平方メートル未満の居住用で、
転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情があるときは、
借主のほうから解約を申し入れられます(同条7項。1か月で終了)。

退去のときに、いちばん効く書類は何ですか?

契約書ではありません。入居時の写真です。

国土交通省のガイドラインが、こう書いています。

原状回復の問題は、賃貸借契約の「出口」すなわち退去時の問題と
捉えられがちですが、これを「入口」すなわち入居時の問題と捉え、
入退去時における損耗等の有無など物件の状況をよく確認しておくこと…が
トラブルを未然に防止するためには有効

入居した日に部屋の写真を撮り、傷や汚れをチェックシートに書いて
管理会社に渡しておく。これが退去のときに効きます。

契約書と一緒に、その写真も残してください。
いま住んでいて写真が無いなら、今日撮っておいてください。
「入居時から」ではなくても、無いよりはるかにましです。

引っ越しのたびに溜まります。全部取っておくべきですか?

いいえ。精算が終わった分は処分してかまいません。

残すのは次の2種類だけで足ります。

1. いま住んでいる部屋の一式(契約書・重要事項説明書・入居時の写真)
2. 退去したが精算が終わっていない部屋の一式

精算が済んだ分は、特約事項の欄・金額の欄・連絡先・精算書を
写真で残して、紙は処分してください。

なお、住所の履歴が要る手続き(住民票の除票で足りることが多い)に
契約書を使う場面は、ほとんどありません。

根拠と最終確認日

このページの判断に使った資料です。 その根拠が、今回の判定にどう関係しているかまで書いています。

e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-22
期間満了の1年前から6月前までに更新しない旨の通知がなければ、従前の契約と同一の条件で更新したものとみなされること。「2年契約が切れたから契約書はもう関係ない」が正しくないことの根拠。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-22
敷金を返還する義務が生じるのは「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」であること。名目を問わず敷金にあたるとされていること。退去後も精算まで捨てられない根拠。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-22
原状回復義務から通常損耗と経年変化が条文の括弧書きで除かれていること。「借りたときの状態に戻す義務」ではないことの根拠。
国土交通省(住宅局) / 最終確認 2026-08-22
原状回復の定義、経年変化・通常損耗の修繕費用が賃料に含まれるとされていること、経過年数を考慮して負担割合を減らす考え方、そして「入居時の状況をよく確認しておくこと」が有効だとしていること。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-22
定期建物賃貸借は書面で契約し、あらかじめ書面を交付して説明しなければならず、説明をしなかったときは更新がない旨の定めが無効になること。契約書と事前説明の書面を一緒に保管する理由。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-22
債権の消滅時効(知った時から5年、行使できる時から10年)。敷金返還請求権をいつまで行使できるかの目安。

更新履歴

日付種別内容
2026-08-23 内容を更新 「捨ててしまった」ページを追加。宅地建物取引業法35条・37条を e-Gov の法令APIで確認し、重要事項説明書と契約書が別の書面であること、再交付の定めが無いことを反映。
2026-08-22 内容を更新 初版。民法166条・621条・622条の2、借地借家法26条・38条、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を一次資料で確認して作成。
このページの情報が古い・違うかもしれない

制度は変わります。こちらの誤りもありえます。 気づいたことがあれば教えてください。 連絡先の入力は任意です。

参照された公的な案内の URL があれば、それも教えてください。

確かめたいことがあるときだけ使います。

あなたの場合を判定する