もう捨ててしまった方へ

雇用契約書・労働条件通知書をなくしたときにやること

会社に再交付の義務はありません。

労働基準法15条が定めているのは
「働き始めるときに労働条件を明示する」義務であって、
あとから作り直す義務ではありません。

しかも、この対象には他に無い難しさがあります。
取り戻す相手が、争う相手と同じになることです。

未払いの残業代や解雇でもめているときに
「条件を確かめたいので控えをください」と頼むのは、
手の内を明かすことになりかねません。

だからこのページでは、
会社に頼まずに集められるものから並べます。

動くのに期限があります
賃金を請求できる期間は、退職手当が5年、それ以外は当分の間3年です。 もめている最中なら、資料を集めるのは早いほど有利です。
再発行 再発行が難しい
このページの内容

捨てて困るのはどんなとき

捨てたこと自体が問題になるのではなく、 必要になる場面が来るかどうかで変わります。 当てはまるものがなければ、急いで動く必要はありません。

早めに動く

労働条件でもめている(未払い賃金・解雇・契約期間)

いちばん重い場面です。

労働条件通知書は、
「何を約束されて働き始めたのか」を示す資料です。
これが無いと、口頭でどう言われたかの争いになります。

★会社に控えを求めるのは、手の内を明かすことになりかねません。
まず下の「代わりになるもの」で、頼まずに集められるものを確かめてください。

ひとりで抱えないでください。
各都道府県の労働局・労働基準監督署に
「総合労働相談コーナー」が置かれています。無料で相談できます。

賃金の請求は退職手当5年、それ以外は当分の間3年
手間が増える

転職先や役所へ提出する必要がある

提出先が求めているのが「在籍していた事実」なのか
「労働条件の中身」なのかで、代わりになるものが変わります。

在籍の事実だけなら、離職票や退職証明書で足りることが多いものです。
退職証明書は、請求すれば会社に交付義務があります(労働基準法22条)。

条件の中身が要るなら、給与明細と就業規則を組み合わせることになります。

手間が増える

自分の労働条件を確かめたい(在職中)

在職中なら、頼まずに確かめられる部分がかなりあります。

就業規則は、労働者に周知させることが義務づけられています
(労働基準法106条)。
見やすい場所への掲示、備え付け、書面の交付などの方法で、
見られる状態になっていなければなりません。

賃金の額そのものは給与明細で分かります。

困らない

退職して何年も経ち、もめごとも無い

困りません。

賃金を請求できる期間は、退職手当が5年、
それ以外は当分の間3年です(労働基準法115条・附則143条)。

その期間を過ぎていて、会社ともめていないのであれば、
手元に無くて困る場面はほとんどありません。

取り戻す手順

  1. まず手元を探し直す

    どこに
    自分
    費用
    無料
    かかる時間
    すぐ

    雇用契約書・労働条件通知書は、別の名前で渡されていることがあります。

    • 「労働条件通知書」「雇入通知書」「採用条件通知書」
    • 内定通知書に添付されていた条件の一覧
    • メールの添付ファイル(電子で交付された場合)
    • 入社時に渡された書類一式の封筒

    ★2019年4月から、本人が希望すればメールなどでの明示も認められています。
    紙で探して見つからない場合は、当時のメールを検索してください。

  2. 会社に控えを求める(もめていない場合)

    どこに
    勤務先の人事・総務
    費用
    無料
    かかる時間
    数日

    再交付の義務はありませんが、応じてもらえることは多いものです。

    会社は、雇入れに関する重要な書類を
    退職または死亡の日から5年間(当分の間3年間)保存する義務があります
    (労働基準法109条・附則143条、同施行規則56条)。
    この期間内なら、会社に控えが残っている可能性は高いといえます。

    もめている場合は、この手を先に打たないでください。
    「証拠を見せてほしい」と伝えることになり、
    労働条件を争う場面では不利に働くことがあります。
    先に相談先を確保してから動いてください。

代わりになるもの

元の書類が戻らなくても、同じことを証明できる別のものがあります。ただしどこでも通じるわけではありません。使える場面と使えない場面を分けて書いています。

代替

就業規則

どこに
勤務先(掲示・備え付け・社内システムなど)
費用
無料
かかる時間
すぐ

見せてもらうのに気兼ねは要りません。

使用者は就業規則を
「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、
書面を交付すること」などの方法で
労働者に周知させなければなりません(労働基準法106条)。

常時10人以上を使用する事業場では、
始業終業の時刻・休憩・休日・休暇、賃金の決定と支払の方法、
退職に関する事項(解雇の事由を含む)を必ず書くことになっています
(同89条)。

これで足りる場面

職場全体に共通する決まりを確かめたいとき。

  • 所定労働時間と休憩・休日
  • 賃金の締切日と支払日、昇給の決まり
  • 退職の手続きと、解雇の事由
  • 退職金の有無と計算方法
これでは足りない場面

その人の個別の条件は載りません。

就業規則に書かれるのは「決定・計算の方法」であって、
あなたにいくら払うかではありません。
契約期間、勤務地、従事する業務も、個別に決めたものは載りません。

常時10人未満の事業場には、作成の義務がありません。
小さい会社では、そもそも存在しないことがあります。

代替

給与明細

どこに
手元の控え、勤務先の給与システム
費用
無料
かかる時間
すぐ

給与明細は、給与を支払うたびに交付されるものです(所得税法231条)。

実際にいくら支払われていたか、
どんな手当が付いていたか、何時間働いた扱いになっていたかが分かります。

争いの場面では、これがいちばん強い材料になることがあります。
約束ではなく、実際に行われたことの記録だからです。

これで足りる場面

賃金の実額と、その内訳。
勤務時間が記載されている明細なら、労働時間の記録にもなります。

未払い残業代の話では、支給額と勤務時間の欄が争点になります。

これでは足りない場面

約束された条件は分かりません。

契約期間、勤務地、従事する業務、更新の有無。
これらは明細のどこにも書かれていません。

「話が違う」を示したいときには足りません。
実際に支払われた額しか分からないためです。

代替

退職証明書・離職票

どこに
勤務先(退職証明書)、ハローワーク経由(離職票)
費用
無料
かかる時間
数日〜数週間

退職証明書は、請求すれば会社に交付する義務があります
(労働基準法22条)。使用期間、業務の種類、地位、賃金、
退職の事由のうち、本人が請求した事項が記載されます。

離職票には、離職前の賃金の額と離職理由が書かれています。

これで足りる場面

在籍していた事実、期間、退職の理由を示したいとき。

転職先や役所への提出では、
こちらのほうが受け取ってもらいやすいことがあります。

これでは足りない場面

働き始めるときに約束された条件は分かりません。

退職証明書に載るのは、本人が請求した事項だけです。
しかも本人が請求しない事項は書いてはいけないことになっています。

在職中には請求できません。
★離職票の離職理由に納得できない場合は、
ハローワークに異議を申し立てられます。

次に同じことを起こさない

働き始めるときに渡された書類は、退職してからも残してください。

捨てる目安は「退職した日」ではありません。
賃金を請求できる期間です。
退職手当は5年、それ以外は当分の間3年(労働基準法115条・附則143条)。

退職するときに、手元の1部を確保しておくのがいちばん確実です。
会社の保存義務は退職の日から起算されるので、
こちらが持っていない期間が長いほど、取り戻しにくくなります。

★電子で受け取った場合は、在職中にダウンロードしてください。
社内システムやメールは、退職した日から見られなくなることがあります。

★写真かPDFで残すなら、次の欄が読めることを確かめてください。

  • 契約期間と、更新の有無・判断の基準
  • 就業の場所と従事すべき業務(変更の範囲を含みます)
  • 始業終業の時刻、休憩、休日
  • 賃金の決定・計算・支払の方法、締切と支払の時期
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含みます)
雇用契約書・労働条件通知書はいつ捨てていい? 保存期間と条件別の判定は本体のページにあります。 次の1枚をどうするかは、こちらで確かめてください。

よくある質問

会社に頼めば、もう一度もらえますか?

義務ではないので、断られることがあります。

労働基準法15条が定めているのは
「働き始めるときに明示する」義務であって、再交付の義務ではありません。

ただし会社には、雇入れに関する重要な書類を
退職または死亡の日から5年間(当分の間3年間)保存する義務があります。
この期間内なら、残っている可能性は高いといえます。

もめている場合は慎重に。
「証拠を見せてほしい」と伝えることになります。

もめている最中です。会社に頼まずに集められるものはありますか?

あります。次の3つは、頼まずに手に入ります。

  • 就業規則 — 周知が義務づけられています(労働基準法106条)
  • 給与明細 — 手元にあるはずです。実際の支給額と勤務時間が分かります
  • タイムカードの記録や業務メール — 働いた時間の手がかりになります

ひとりで抱えないでください。
各都道府県の労働局・労働基準監督署に
「総合労働相談コーナー」が置かれています。無料で相談できます。
どの資料が要るかも、そこで教えてもらえます。

就業規則を見せてほしいと言っていいのですか?

言って構いません。むしろ見せる義務があります。

使用者は就業規則を
「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、
書面を交付すること」などの方法で、
労働者に周知させなければなりません(労働基準法106条)。

気兼ねする必要はありません。
社内システムに置かれていることも多いので、まず探してみてください。

★ただし常時10人未満の事業場には作成の義務がありません。
小さい会社では存在しないことがあります。

メールで受け取った気がします。

2019年4月から、本人が希望すればメールなどでの明示が認められています。

当時のメールを、件名や添付ファイル名で検索してみてください。
「労働条件」「雇入」「採用」「通知書」あたりが手がかりになります。

★在職中なら、いまのうちにダウンロードしてください。
社内のシステムやメールは、退職した日から見られなくなることがあります。

何年も前に退職した会社の分です。もう無理ですか?

会社の保存義務は、退職の日から5年(当分の間3年)です。
それを過ぎていれば、残っている保証はありません。

ただし、実際には保存期間より長く残っている会社もあります。
もめていないのであれば、聞いてみる価値はあります。

★あわせて確かめてほしいのは、
そもそも取り戻す必要があるのかです。
賃金を請求できる期間(退職手当5年・それ以外は当分の間3年)を
過ぎているなら、取り戻しても使い道が限られます。

根拠と最終確認日

このページの対処法に使った資料です。 その根拠が、この場面にどう関係しているかまで書いています。

e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-21
労働条件を明示する義務が「働き始めるとき」のものであり、再交付の義務ではないこと。義務が使用者にかかること。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-23
就業規則の作成義務(常時10人以上)と周知義務。頼まずに労働条件の一部を確かめられる根拠と、個別の条件が載らない理由。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-21
雇入れに関する重要な書類を会社が保存する義務。会社に控えが残っている可能性を見積もる根拠。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-21
109条の「五年間」を当分の間3年と読み替える附則。会社に残っている期間の目安。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-21
保存期間の起算日が「労働者の退職又は死亡の日」であること。手元の1部を退職時に確保すべき理由。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-21
賃金請求権の消滅時効(退職手当5年・それ以外は当分の間3年)。急ぐ期限と、過ぎたら困らなくなる目安。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-21
給与明細(支払明細書)が支払のたびに交付されるものであること。代わりに集められる資料としての裏づけ。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-21
明示すべき事項の一覧。写真で残すときに読めるべき欄の根拠。
e-Gov法令検索(デジタル庁) / 最終確認 2026-08-23
退職証明書は請求すれば会社に交付義務があること。記載されるのは本人が請求した事項だけで、請求しない事項は書いてはいけないこと。労働条件通知書の代わりにならない理由。
このページの情報が古い・違うかもしれない

窓口や手数料は変わります。こちらの誤りもありえます。 気づいたことがあれば教えてください。 連絡先の入力は任意です。

参照された公的な案内の URL があれば、それも教えてください。

確かめたいことがあるときだけ使います。